観自在であること
これまで我々が物事を考える時には抽象化が必要だということを述べてきた。
抽象化とは、まず言葉により物事を表現すること。科学においては、もっとも適切なモノサシ、尺度を選び、その定義の中で比較を行う等をしていること。そして事象を見て思い浮かんだだけでは仮説に過ぎず、現実に正しいかどうかは検証を行わなければならない。
こうした一連の作業は我々の思考の中にある。実在の”モノ”を我々の感覚を通して、抽象化された世界で考える訳である。
般若心経の出だしを見てみよう。
観自在菩薩、行深般若波羅密多時、照見五蘊皆空、度一切苦厄。。。。。色即是空、空即是色。受想行識、亦復如是。。。。
観自在菩薩が、最高の知恵(悟りに至る知恵)について行を深く行っていた時、五蘊の全ては空であると解った。我々が実在と考えているもの、感じるもの、想うもの、意思、認識するものは空(無)であると。
つまり、我々の思考の中のものであり、実在はその外にあるものだと。このことを自覚することが悟りの知恵であると。